商工ふくしま 2003.12月号掲載

熱塩温泉旅館協同組合

 最近、「スローライフ」や「スローフード」といった取り組みがあちこちで聞かれます。終戦から高度成長期を経て日本は駆け足で走り、豊かになりました。そして今、私たちは多くの「便利」なものに囲まれて暮らしています。しかし、便利と呼ばれる文明的な暮らしと社会が、まわりの環境や私たち自身を犠牲にしているような気がします。大量に消費することでゴミや環境汚染を引き起こしたり、ストレスを抱えたり、病気になったり・・何かバランスが崩れているようです。スピード社会の中で自然も人間もとても疲れています。
 今、私たちは少しずつその現状に気づきはじめています。それが「癒し」や「健康」を求める傾向にあらわれ、「スローライフ」や「スローフード」への関心が高まり、生活全般をスローに、心にゆとりを持って暮らしていこうという運動につながってきているのではないでしょうか?
 今回は、そんな疲弊した現代人の疲れをとって癒してくれる温泉の組合をご紹介したいと思います。温泉の場所は、東に磐梯、北に飯森、西に飯豊と三方を山に囲まれた会津北端の村、熱塩加納村にあります。それでは熱塩温泉に出かけてみましょう!

熱塩はその名の通り・・・熱塩加納村について
 大昔、会津盆地は日本海同面の海でしたが、地殻変動で海水は盆地に浸透し、地熱で暖められ、地表に塩辛い熱湯が湧き出ました。そこから熱塩の地名が生まれました。加納は加納の荘といわれていわれていたことに由来し、かつては日本の三大銅山ともいわれた加納鉱山があり(明治末期から大正初期)、熱塩加納村は、熱塩村と加納村(朝倉村の一部含む)が昭和29年に合併してできた村です。面 積15,600haの約90%は山林原野で、人口3,700人余の村民がひっそりと暮らしています。村の基幹産業は農業で、有機農業の里としてこだわり宣言し、命の糧に値する農産物の生産に取り組んでいます

熱塩温泉は、
 熱塩温泉は、村の観光スポットにもなっている示現寺の開祖、源翁和尚が発見し、開湯600年の歴史があります。やはり熱塩のその名のとおり70度と熱く、塩分が強いのが特徴です。ナトリウム・カルシウム塩化物の泉質で、体の中から温まり、婦人病、慢性皮膚炎、胃腸病などに特効があり、古くから近郷の人々の湯治場として親しまれてきました。別 名「子宝の湯」とも呼ばれ、熱塩温泉の入り口には〈子育て地蔵尊〉があり、入湯して子供が授かった人々がお札参りする姿がみられます。
 樹齢100年以上の樹木に囲まれた会津の奥座敷、人々に安らぎを与えてくれます。
熱塩温泉の歴史
1380年 示現寺・源翁和尚 熱塩温泉を発見する
1590年 蒲生氏郷 示現寺門前百石を寄進する
1609年 会津大地震により一時埋没する
1643年 会津藩主保科正之御湯治される
1662年 保科正経(二代)御湯治される
1799年 藩主松平容住(六代)御湯治される
1809年 示現寺が、末寺二十七寺と記録される
 
伝  説
 土用丑の日の丑の刻 地中で大蛇の霊が騒ぎ出し、温泉の色が濁る。しかし、これには特別 の効能があると言い伝えられ、明治から大正にかけてはこの時間に合わせ、熱塩温泉の宿々が多くの入浴客でにぎわったといいます。

熱塩温泉旅館協同組合
 熱塩温泉旅館協同組合は、熱塩温泉の源泉である「源翁湯」からお湯を引いている旅館が5件と、日中温泉の旅館1件の6名の組合員で構成されています。組合設立は昭和28年と古く、組合員の旅館はそれぞれに個性的で、温かくお客さんをおもてなししてくれます。各旅館のお湯は前述のとおりとても良く、違いのわかる年配の方に人気が高く、リピーターも多いようです。組合員ではホームページを持っている旅館もあり、最近ではホームページからの予約も増えてきています。
 年間を通しては秋の紅葉時期に観光で訪れる近県、関東方面からのお客さんが多く、年間約14万人のお客さんが訪れています。平成5年には、国道121号線が米沢までぬ け、山形方面からのお客さんが増え、熱塩温泉にとっては好機となりました。
日中温泉は
 文化十年、檜澤左五右衛門と重三郎の発起で金山採掘を出願し、金山役所の命により山神祠の麓に一舎を築き掘夫らをここに寝起きさせました。或る夜「この川の西に鉱泉の湧出する所あり、これは諸病を治癒し、世人の患いを救わん」との山神のお告げがありました。掘夫らはこれに感銘し、翌朝霊夢の示す所を採掘すると温泉が湧き出しました。
◎泉質◎ 含土類弱食塩泉 源泉温度40度
◎効能◎ 慢性婦人病 切り傷、
アトピー皮膚炎 皮膚炎

日中温泉マップ
 
 
 
名湯「観音風呂」
ホテルふじや
熱塩温泉
客室総数 38室
送迎有り
TEL.0241−36−2121
www.hotelfujiya.co.jp
歴史の宿・文学の宿
笹屋本館
熱塩温泉
客室総数 10室
TEL.0241−36−3001
味自慢手作り料理
ますや旅館
熱塩温泉
客室総数 7室
TEL.0241−36−2215
www.akina.ne.jp/~hitou-/masuya/
洗練された粋一流の田舎
熱塩温泉山形屋
熱塩温泉
客室総数 42室
送迎有り
TEL.0241−36−2288
www.akina.ne.jp/~spaymgty/
のんびり ふる里 子宝の湯
叶屋旅館
熱塩温泉
客室総数 18室
送迎有り
TEL.0241−36−2211
日本の秘湯日中温泉
ゆもとや
日中温泉
客室総数 24室
送迎可
TEL.0241−36−2266
www.akina.ne.jp/~hitou-/yumotoya/

組合の取り組み
 組合の事業は、共同宣伝として作成したリーフレットにより熱塩温泉をPRしたり、温泉の保持利用(源泉管理)が主な事業です。昨年12月には源泉のところに足湯をオープンしました。無料で入れることから利用者には大変好評です。
 その他、地元で開催される「ひめさゆり祭り」や「グリーンツーリズム」の事業と連携し、村の活性化の一翼を担っています。
 また地元農家の方と提携し、各旅館で「さゆり米(農家の人々が安全性への思いをこめて栽培した有機無農薬コシヒカリ100%の米)」と「地元産野菜」を使用しています。地産地消はお客さんにも喜ばれています。

ひめさゆり祭り
 毎年、6月10日前後には村の花である「ひめさゆり」が群生地の山はだをおおうばかりに可憐な花を開かせます。村あげての事業で、今年は第20回のひめさゆり祭りが開催されました。
 熱塩温泉旅館(協)では、「ひめさゆり」の名にちなんで全国から「さゆりさん」を募集し、全国から175名(フランスからも1名)の応募があり、11名の方を1泊2食のご招待をしました。また応募いただいた方には2名以上で宿泊の場合1割引きのサービスを受けられる「さゆりカード」を発行しました。

グリーンツーリズム
 田舎体験!いなかまるかじり熱塩加納村の体験プログラムです。
 熱塩加納村のグリーンツーリズムは、基本的に都市に住んでいる人で普段経験できないような暮らしを田舎で体験してもらうため、田舎そのもの(ありのままの生活)を体験してもらいます。
 熱塩温泉旅館(協)では、農家と組んでそば打ち、アスパラガスの収穫、田植えなど体験してもらったお客さんにご宿泊いただきました。

有機農業の里 熱塩加納村
 自然保護、環境保護への関心が高まる中、熱塩加納村では早くから有機農法による低農薬・無農薬栽培の米や野菜の生産に取り組んでおり、清らかな水と太陽のもとで育てられた本物の味と香りが全国から脚光を浴びています。
 また、熱塩加納村では「学校給食と食農教育」を積極的に取り組んでいます。村内の2つの小学校では、米は地元産低農薬米で(週5日の米飯給食)、野菜も地元の有機野菜と地元産食材が使用され、郷土食や行事食を取り入れた学校給食づくり、食文化の伝承にもつながっています。さらに学校田を設置し、無農薬、無化学肥料でJAの指導により田植え、田車押し、手取除草、収穫まで児童、生徒の手で行われ、11月には各校とも盛大に収穫祭が行われています。まさに「スロー風土」な取り組みです。

これから・・・
 今、熱塩温泉旅館(協)の悩みは、後継者問題です。後継者のいない組合員の旅館では存続できるかどうか大きな問題となっています。残念ながら11月末で1名組合員が脱退しました。後継者がいないため廃業による脱退でした。今後は、旅館経営を引き継いでくれる後継者、人材の育成が課題です。
 また、組合員の規模が違うため共同事業がやりにくいという問題を抱えています。これまで村の観光や各組合員の宿泊、利用につながるような事業は展開してきていますが、熱塩温泉ならではの魅力的な事業を構築していくことも課題となっています。
 今後は、喜多方の観光との連携したり、地元農家とタイアップした朝市の実施、冬場にかまくらや灯籠でおもてなし・・など、お客さんに対してゆっくり、のんびりしてもらう取り組みを検討しています。
イベント
1月4日  示現寺開山源翁禅師湯殿入(ゆどのいり)
2月上旬  早春そば舌調べ
3月上旬  新雪・楽雪フェアin三ノ倉
5月6日〜7日  護法山示現寺開山忌
6月上旬  ひめさゆり祭り
7月最終
土・日曜日
 日中飯森山沢開き
9月8日〜9日  熱塩温泉神社祭
12月中旬
〜3月下旬
 三ノ倉スキー場オープン

疲れを取りに熱塩温泉に行ってみませんか?
 はじめに「スローライフ」「スローフード」について触れました。名前こそ新鮮ですが、「スローライフ」や「スローフード」は、もともと日本にもあった考えだと思います。自然環境にやさしい社会、歴史・文化が息づく暮らし、高齢者が生き生きできる社会、日本人にあった食生活など・・・。今、一時的な流行ではなく、生活全体に浸透させて“ゆとり”を持とうよ、日本的な生活スタイルを見直そうよ、ということで総称とも言えるこの言葉が広まっているのかもしれません。
 ご紹介してきました熱塩温泉旅館(協)のある熱塩加納村は、まさに「スローライフ」「スローフード」を実践している村で、熱塩温泉はのんびり、ゆったり、心じんわりできる温泉ではないかと思います。是非!熱塩温泉に行ってリフレッシュしてみませんか?本当に熱くて塩っぱい温泉が日々の疲れやストレスを取り除いてくれることでしょう。


観光マップ
 
 


 

示現寺
 今から600年前、那須の殺生石を鎮めたことで知られる源翁禅師が曹洞宗を広め、再建したと伝えられている。
  座禅の体験もできる。

千手観音
  会津三十三観音第五番札所。千手観音は方便の限りをつくして人々を救おうという心を表している。観音堂は、示現寺の境内にある。

 

 

 
ひめさゆり
さゆり米
子育てまんじゅう
 ユリ科の植物で自生分布は日本でも数ヵ所にしかない貴重な植物。  農家の人々が安全性への思いを込めて栽培した有機無農薬コシヒカリ100%の米。

 熱塩温泉の名物おみやげ。すべて手作りで、無添加。




◎熱塩温泉旅館協同組合
<住所> 福島県耶麻郡熱塩加納村大字熱塩字熱塩甲795番地
<TEL> 0241−36−3138
 

▲示現寺内にある組合事務所

◎リーフレット差し上げます!
 ご希望の方は組合事務局までどうぞ!