商工ふくしま 2004.12月号掲載

田島町商店街協同組合

 中小小売り商業は、全事業所の約2割、従業者の16%を占める存在であり、中小企業の中でも重要な位置づけとなっている。しかし、企業統計調査の事業所数を観ると、1996年には、153万余あった事業所数が、1999年には、140.2万と減少し、さらに2001年には、138.3万と5年間に14.7万事業所が減少したことになっている。実に1年間に約3万に近い事業所が廃業しているのである。こうした状況に加え、商店街では様々な問題点も抱えている。平成15年11月に全国商店街振興組合連合会が実施した「商店街実態調査」によると、商店街が抱えている問題点は、「経営者の高齢化等による後継者難」67.1%、「魅力のある店舗が少ない」66.3%、「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」55.7%、「核となる店舗がない」51.8%、「店舗の老朽化・陳腐化」48.2%、「駐車場の不足」37.2、「大規模店との競合」36.9%となっている。これにより、最も多いのが、後継者問題である。また、世代交代と商店街を構成する個店の業況の間には、一定の関係が観られるという。つまり、経営者の年齢が40歳代以上の個店では、減益傾向(69.5%)があり、30歳以下の個店では、増益(27.6%)と回答している割合が高くなっている。
 今回は、魅力ある個店の集積を共同事業に活用し、会津地方でダントツの共通商品券販売額を確保している田島町商店街協同組合を紹介します。
 
 鎌倉時代には、源頼朝の家臣長沼氏が築城した鴫山城の城下町として、また、江戸時代には、会津と江戸を結ぶ日光街道宿場町として栄えた田島町。東京浅草から会津田島まで直通電車で約3時間で来ることができる。町の面積は、350.34平方km。人口は、13,142人(H16.05.01)である。標高は、550メートルで、回りを1,000m級の尾根で縁取った雄大な自然の中にある。東京都をしのぐ広大な南会津地方3町4ケ村の中核都市として発展してきた。
 田島町は、城下町、陣屋の町、宿場の町の3つの顔を持っている。800年余の歴史を秘めた田島祇園祭は、日本三大祇 園祭としても有名である。お党屋制と呼ばれる古式ゆかしい行事を通して、郷土の誇り高き伝統を守っている。
 この会津田島祇園祭は、国指定重要無形民俗文化財に指定されており、7月22日の夕方、シャンギリの笛太鼓に誘われて、歌舞伎の大屋台曳きが始まり、23日は、神事の最大イベントである七行器行列や御輿渡御が行われる。正月から始まり1年がかりの行事だ。24日は、フィナーレで、太々御神楽奉納が行われる。神社の森の神楽殿で、終始無言の民族伝承「神楽舞」を奉納する。まさに、田島町は、民俗文化の宝庫と言えよう!
 

 
Q: 現在の商店街環境は、どのようになっていますか?
 
(左側)理事長 湯田 宏 氏 (右側)副理事長 小林 広司 氏
  中心市街地の商店街では、東(R店売り場面積2,000m2)と西(Y店売り場面積3,160m2)の大規模小売店舗同志の競争に巻き込まれれ、さらに新規ホームセンターの出店計画がある等大変厳しい状況です。特に、国道289号線のバイパスが、町の北側にあり、一部供用を開始しています。今後は、車の流れも大きく変わって行くでしょう!多くの小売 店が、後継者難と売上減少等の問題を抱えている中で、このまま何もしないでは、中心市街地の空洞化に拍車がかかり、町の顔も失ってしまいます。今、商工会上げて、今後の街作りの観点から具体的にどしていくのか検討しています。
  商業統計における田島町小売業の推移
  小売店舗数 従業員数 年間商品販売額 売り場面積
H6年度商業統計 260店 1,030人 1,640,642万円 19,793m2
H9年度商業統計 234店 1,031人 1,828,536万円 19,928m2
H14年度商業統計 231店 1,081人 1,522,737万円 21,469m2
   
設立の経緯
   昭和57年にライオン堂(現リオンドール)がオープンしました。その時の危機感から商店会の組織化の機運が盛り上がりました。まず、任意組織の西町商工振興会、上町商店街会、上中町中央名店街会、中町商栄会の4組織が、昭和59年までに結成されました。その翌年に上部団体の商店街連合会が結成され、第1回「健康幸せ祭り」を実施しました。さらに、地元での購買率を高めようと、共通商品券を発行して、利便性を高めてきました。それまで任意組織で発行してきた商品券が田島町で広く利用されていることから、前払式証票の規制等に関する法律改正に則り、平成5年8月に法人化し協同組合として設立しました。平成6年同町中町にあった旧郵便局跡地を商店街協同組合の共同駐車場として利用することになり、さらに、県単独事業として上中町から東町まで舗道のカラー舗装化に併せて街路灯事業を計画し、共同施設事業として60基の街路灯を設置、消費者の利便性を高めてきまた。今年度は、役員改選があり、後継者も積極的に執行部に参加して頂くような体制となりました。
 
【組合概要】
名  称   田島町商店街協同組合
設  立   平成5年9月27日
住  所   南会津郡田島町大字田島字行司12番地
電話番号   0241-62-0329 FAX:0241-62-4729
組合員数   73名
理  事   11名(内理事長1名、副理事長2名、専務理事1名)
監  事   2名
理事長   湯田 宏
主な事業   1.組合員のためにする販売促進事業
2.組合員のためにする共同宣伝事業
3.前払い式証票(商品券)の発行
4.共同駐車場の設置及び運営
5.教育情報事業
 
現在の事業状況
 
Q: 組合さんで実施している事業と特徴は?
   組合では、(1)販売促進事業(2)共同宣伝事業(3)商品券の発行(4)教育情報事業を実施しています。販売促進事業は、商工紅葉祭として大売り出しを行っています。また、中 町商栄会と連携して、共同駐車場では、第3土曜日に「祇園通りナイトバザール」と称してイベントを実施しています。今年で、述べ40回を超えました。共同宣伝では、年末の12月20日から年始の1月15日まで、街頭にイルミネーションを点灯しています。これも、評判が良いです。教育情報事業では、毎年新年会に講演会を実施して、研修と会員の親睦を図っています。商品券の発行事業の仕組みは、組合員店舗は、金融機関と指定した組合員2店舗から商品券を買います。組合では、販売手数料を2%に設定して、換金手数料は3%です。差額1%ですから、運営は、大変ですね。平成5年は、設立当初でもあり期間が短かったので、1千万円台でした。平成6年からは、約2千1百万円から2千4百万円ありましたが、平成12年度は、一気に3千7百万円と増加しました。要因は、町で、1割のプレミアムについて補助を出してくれたからです。それ以後は、少し減少しましたが、3千万円の売上を確保しています。
 
共同駐車場でナイトバザール!
Q: 商品券事業の成功の要因は?
   なんと言っても商品券購入にあたり、町から1割の補助が受けられる支援です。商品券は一人につき1万円から10万円まで購入できます。昨年までは、1千万円の予算で、1百万円がプレミアムでした。期日を決めて発売していますが、4〜5日で売り切れてしまいます。ほとんどが、10万円近い高額購入です。今年は、予算が減少しましたが、町で「田島町地域活性化対策奨励金制度」を導入して、地元産材を60%以上使った110m2の木造住宅建築主に延べ床面積1m2当たり3千円の商品券を50万円限度として支給する制度を作ってくれました。地産地消の取り組みと地買地消にも結びつけることができます。月山で有名な、山形県西川町が先行して実施していましたので、商工会が調査して町にお願いしまして実現しました。すでに1件の実績で47万円分の商品券が支給されました。他に、3件は、申請中だそうです。やはり、行政の支援が大きいです。さらに、町の行事で、350万円ぐらいは、活用して頂いています。また、個別店舗も牽引力となっている店舗が、大きいですね。地元スーパーや専門店などは、上手に個店の販売戦略と組合わせています。こうしたお店の努力があるからこそ消費者の支持が強いと思います。
  会津地域商品券販売額ランキングベスト5▼
  商品券売上 人 口 組合員数 組合員平均 1人当たりの購入額
田島町 31,325,750円 13,273人 73人 429,120円 2,360円
A 町 16,029,000円 8,675人 62人 258,532円 1,848円
B 市 12,791,450円 37,059人 65人 196,792円 345円
C 町 10,559,000円 5,444人 23人 459,087円 1,940円
D 町 10,370,000円 15,148人 64人 162,031円 685円
 
個店の販売促進 ダントツの地元食品スーパー
Q: 現在の課題は、何でしょう?
  最大の課題は中心市街との活性化でしょう!国道289バイパスが開通した後に、中心市街とがどのようになるか?既にバイパス添いには、会津田島祇園会館や御蔵入交流館など、文化拠点が完成しています。これと医療・福祉ゾーンが結びつくことになります。人や車の流れが、大きく変化すると思います。消費者の流出も増加すると思いますから、現在の共通商品券の利用拡大を図っていきたいと思います。これには、消費者の利便性を高める為に、他の店舗やサービス業等でも利用できる様な仕組みが必要ですね。二番目には、運営資金の確保です。特に、共同駐車場の運営です。組合員さんの協力により維持してきましたが、年々経営が厳しくなってきました。一部の組合員さんの好意だけでは、維持できなくなってきました。一方、利用者であるお客様は、商店街で維持していると認識より、町で確保している駐車場という認識の方が、多いと思いますよ。これは、早急に解決しなければ、ならないと思っています。三番目は、今後は、新しい事業を起こしていかないと行政の支援も難しいと言うことです。町の活性化は、中心部に如何に人が集まるか?です。青年部や女性部の皆さんと協力して、いわゆる「町の駅」を作っていきたいと思います。また、商品券についてもお客様からいろいろご意見を頂戴してます。
Q: これから取り組みたいことは?
   まず、今ある空き店舗などの施設を利用して、お年寄りの方が集まれる場所を作りたいです。そこでは、自分達が趣味で作った製品を販売したり、お茶を飲んで世間話をしたり、必要な情報を提供したりできる機能を考えています。次に、地域通貨を考えています。経済価値だけでなく、人との助け合いも大切です。これは、実施に向けて研究していきたいと思います。それから、商業者で、いろんな団体を作っています。それぞれの歴史的背景や経過もありますが、同じ人が運営しているので、一つの団体に統合して、事業展開を図っても良いと思います。団体の再編成です。別々に行っていたのでは、組織の弱体は、あっても強化には、繋がらないと思います。商工会さんにも、今後もしっかりと個店の強化を図って頂きたいと思います。指導員さんと協力して、中心市街の活性化を図っていきます。既に、個店活性化を7〜8店舗実施しています。さらに、賛助会員等の制度を検討して、消費者の利便性をより高めて行きたいと思っています。また、商工会さんが、中心市街地活性化に取り組んでいますので、商店街協同組合も連携しながら、検討していきたいと思います。
   
まとめ
   街作りは、商店街だけで行える時代では、なくなりました。行政と商店街、そして大切なのは、生活者の視点で取り組むことが重要です。行政主体でやらせると言うことでもなく、商店街単独だけでも問題が多くあります。3者が同じ目線で、ネットワークを構築して取り組むことが求められています。特に、人作りが重要な鍵となります。先進事例では、人作りに独自の成功要因があるようです。新しいことに挑戦することこそ生き残るチャンス!民俗文化の伝承を支える田島町商店街協同組合にエールを贈ります。