商工ふくしま 2000.5月号掲載


 小さな規模で事業を開始するのに適した制度として、企業組合という制度があります。企業組合は、事業協同組合と同じく中小企業等協同組合法に基づく法人です。会社を作るのには、最低資本金制度があり、株式会社の場合には1000万円、有限会社の場合には300万円の出資が必要ですが、企業組合の場合には、最低資本金制度が法律になく、少額の資本で法人組織を設立することができます。企業組合はもともとは小規模の事業にむく組織ですが、昨年12月の法改正により、協同組合、協業組合、企業組合から株式会社または有限会社への組織変更ができることとなり、事業を拡大することも可能となりました。
 最近は企業組合制度が、個人が4人以上集まればいかなる事業でも行える組織であるため、主婦、企業をリタイヤした高齢者、企業をリストラされた人々などが、それぞれの経験を生かしながら新しい就労や自己実現の場を求めて創業する仕組みとして改めて注目されています。全国的に、福祉・介護、地域産業おこし、ソフトウェアなどの情報関連、各種コンサルティング・サービス等の分野での企業組合の設立の動きが顕著となっています。
 県内では、すでに13組合の事例がありますが、昨年中には、これまでにない分野で、3つの企業組合が設立されました。村おこしを目的とした「企業組合かわうちとくさん」、児童・青少年演劇の公演活動を主たる事業とする「企業組合劇団風の子東北」、訪問入浴サービスや訪問介護を事業とする「在宅福祉会やわらぎ企業組合」の3つの組合です。今月号では、昨年3月に村おこしを行うために設立された双葉郡川内村の企業組合かわうちとくさんを紹介します。

設立までの経過
 

 川内村は、阿武隈高原の中腹に位置し、年間平均気温が10度℃と夏期はたいへん過ごしやすく、また県内の最低気温を記録しているなど、特徴ある気候風土です。
 数年前から村と商工会が中心となり村おこし事業を行い、この気候、地元産の素材を活かした特産品の開発・商品化、販路の開拓を行ってきました。
 その結果、これまでの活動を事業として確立し、さらに拡大するためには、特産品の販売元を一本化すること、自主的に活動ができる組織と村おこしの拠点となる施設が必要であることが認識されました。
 これまでは、商工会婦人部、やまゆり会などグループ毎に特産品の製造を行い、また販売もそれぞれのグループ毎に行われてきました。地元はもとより、毎年東京で開催される「全国村おこしフェア」でも評判がよく、販売実績を作ってきました。
 川内村の特産品のイメージの定着と向上を行い、販売力の向上や、さらには、ほかの商品や新規商品についても販売機会の拡大を図るためには、販売元を「かわうちとくさん」として一本化し、商品への信頼を高めようと考えました。
 また、これまでは、商工会の村おこし事業の一環として、商工会にかなり依存してきました。これまで以上に事業を拡大するためには、自主的に活動できる組織が必要です。
 組織形態について検討したところ、最終的には有限会社とするかあるいは企業組合とするかとなりました。事業の趣旨や運営形態、並びに出資金額、税制上の優遇措置、中央会等関係機関からの支援等の優位性により企業組合の形態をとることになりました。川内村商工会の婦人部を中心とする24名により企業組合を設立にいたったものです。
 拠点となる施設についても、川内村の協力により村の施設「高山倶楽部」を無償で賃借することができました。
 企業組合の主な事業は、特産品の製造販売と地元産のそば粉を原料とするそば屋です。設立経過後約1年が経過しましたが、事業もほぼ計画通り実施され、また組合員が35名に増加するなど、順調な滑り出しです。

   
企業組合の事業
  ◆特産品の製造販売
   凍みもち、梅のシロップ漬け(川内村梅物語)、蕎麦まんじゅうを始め、季節的には蕗の煮物など約20種類の特産品が製造販売されています。
 平成10年12月には、常時特産品を販売する店舗として、村内に川内村おみやげセンターを1カ所設置しました。現在では、その他にいわなの里、たかやま倶楽部、天山の湯の3カ所において常時特産品を販売しています。また、村内でのイベント等でも販売しています。
 商品はすべて地元産の原材料を活かした商品です。川内梅物語は、昨年仙台市で開かれた東北村おこし物産展特産品コンクールで金賞を受賞しました。川内村の特産品が商品として、品質を高く評価されたもので、これからも「かわうちとくさん」全体のイメージが向上し、販路の拡大がされると期待しています。
  販売所
▲特産品の販売所
   
  ◆そば打ち道場 たかやま倶楽部
   組合事業のもう一つの柱は、たかやま倶楽部での飲食店の経営です。地元産のそば粉により、手打ち蕎麦を始めました。  川内村商工会の特産品開発グループ「夢工房」が中心となり、平成8年度より村内で、実験的に蕎麦の生育を始め、質・量ともに充分に収穫できることが確認されました。また、あわせてこのメンバーが中心となり、そば打ちの技術を習得してきました。
 平成10年秋から実験的に「そば打ち道場 たかやま倶楽部」がオープンし、昨年4月から本格的に企業組合が「そば打ち道場 たかやま倶楽部」の運営を行っています。
 石臼で丁寧に挽いた蕎麦粉100%のそばです。メニューは、ざる、もり、天ぷら、山菜など蕎麦だけで、一日およそ50食限定です。場所は、川内村役場の道路向かい、営業日は、火・木・土・日・祝祭日、営業時間は、午前11時から午後3時までです。
 そば打ち体験も随時受け付けております。そば打ち体験は1回当たり5人分相当の量となっており、その場でも食べられます。なお、そば打ち体験は予約が必要です。
 土曜日や日曜日には、50食で間に合わず、多くの客に食べずに帰ってもらうという状況です。質を維持しながら量を拡大する体制を整えることが今後の課題です。
 
  そば打ち道場
▲そば打ち道場 たかやま倶楽部
  ●川内村ホームページ
 http://www.vill.kawauchi.fukushima.jp/kawauchi.htm
 電話:0240−38−2265(川内村商工会)
    0240−38−2067(たかやま倶楽部)
   
川内村の観光
  祭り 百聞は一見にしかずという言葉もありますので、ぜひ川内村の特産品やたかやま倶楽部での蕎麦を味わってみて下さい。
 川内村は、郡山市から車で約1時間、いわき市から1時間10分、福島市から高速道路を使って1時間30分の時間でこれます。日帰りで観光するには丁度よい時間行程です。気候を考えれば、これから紅葉の時期までが川内村の観光にはよい時期です。厳寒を体験したい方は、川内村の真冬もおすすめです。
 村内には、天山文庫、平伏沼、高塚高原また福島の水30選に選ばれた千翁川などの観光地もあります。最近は川内村役場の南に温泉(天山の湯)も新たにオープンしたので温泉に入ればもっとのんびりできます。
 平成11年6月からは、日本標準時が川内村から発信されています。都路村との境にある大鷹鳥谷山(おおたかどやま)に郵政省の標準電波送信所が設置され、ここから全国へ日本標準時が発信されています。川内村にいれば日本で一番早く正確な時間を知ることができます?。
 年3回のお祭りもありますのでぜひ参加して下さい。
 どうだん祭り(6月中旬)、天山祭り(7月16日)、きのこフェスティバル(10月)です。特にきのこフェスティバルは、松茸弁当の販売のほかに、地元産の松茸のオークションもあり、市価の半値近くで買えるそうです。
 最近は、全国で1番目か2番目に星がきれいに見える村として、マニアの間で有名になってきました。
   
企業組合の設立について
   企業組合は、外形的には会社に類似していますが、経営が出資者、従業員一体の形で行われ、かつ、組合原則によって律せられているのが大きな特徴です。
 企業組合は、4名以上の個人によって設立されます。会社などの法人は企業組合へ加入できませんが、個人であれば、個人事業者、勤労者あるいは主婦でも加入することができます。
 中小企業の場合には、出資者が会社の経営を行い、かつ日常の業務にも従事するというのが一般的です。これは法律により定められているのではありません。ところが、企業組合の場合には、出資者が、自ら経営を行い、かつ一定の割合で業務に従事することが法律に定められています。これが企業組合の大きな特徴で、小規模で事業を行うのに適している理由でもあります。
 一方で、組合原則による運営が基本で、相互扶助目的、加入脱退の自由、議決権の平等(1人1票)、出資配当の制限などが定められています。
 企業組合の設立に当たっては、中央会へご相談下さい。