中小企業に関する国などの契約方針

(抜粋)

中小企業者の受注機会の増大のための措置

閣議決定 平成22年6月18日
 
 国は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(以下「官公需法」という。)第4条第2項に基づき、平成22年度における中小企業者に関する国等の契約の方針(以下「国等の契約の方針」という。)を次のとおり定める。
 現下の厳しい経済情勢の中で、経済収縮の悪影響を受けやすい中小企業者の受注機会を確保することは極めて重要である。
 こうした認識の下、国等は、中小企業基本法第3条に掲げる基本理念に則り、中小企業者の受注の企画の増大のための措置を講ずるものとする。その運用に際しては、国等の調達する物件等(工事及び役務を含む。以下同じ。)の受注を確保しようとする中小企業者の自主的な努力を助長し、公正な競争が行われるよう配慮するものとする。
 なお、国等の契約の締結に当たっては、予算の適正な使用に留意し、世界貿易機関政府調達協定及び政府調達に関する我が国の各種行動計画との整合性を確保するとともに、消費税及び地方消費税については、その適正な転嫁を受け入れるものとする。
 また、国は、地方公共団体に対し、国等の契約の方針を参考として、地域の実情に応じ必要な場合には中小企業者に関する契約の方針を策定する等中小企業者の受注機会の増大のための措置を講じ、適切な運用が図られるよう要請する。
 さらに、国は、民営化された独立行政法人等のうち、国がその株式の全てを保有している会社に対し、国等の契約の方針を参考として、可能な限り、中小企業者への受注機会の増大のための措置を講じるよう要請する。

1.官公需情報の提供の徹底
 国等は、透明性の向上と公正な競争の確保に留意しつつ、官公需に関連する情報の中小企業者への提供促進のため、次の措置を講ずるものとする。
 
(1) 各府省、公庫等ごとの契約目標等の公表
 
(ア)
国等は、中小企業者向け契約の目標金額及び実績金額について、各府省及び公庫等別に物件、工事及び役務別の情報を公表するものとする。
 
(イ)
国等は、競争促進に資する新たな指標として、入札件数等の情報提供に努めるものとする。
     
(2) 個別発注情報の提供と説明
 
(ア)
国等は、物件等であって、一般競争、企画競争又は公募による発注に関連する情報及びそれらに係る落札結果等に関する情報を、ホームページへの掲載等により、中小企業者に提供するよう努めるものとする。
 
(イ)
国等は、発注計画の策定が可能なものについては、これを積極的に定め、中小企業者に提供するよう努めるものとする。
  (ウ) 国等は、物件等の発注を行うに際しては、中小企業者の入札等が円滑に行われるよう、性能、規格等必要な事項について十分説明に努めるものとする。
     
(3) 発注部局における「相談窓口」の設置
  (ア) 国等は、官公需の受注に意欲的な中小企業者の受注能力の向上に資するよう、中小企業者の相談に応じ、資格登録、入札に関する手続等について情報を提供する等必要な指導に努めるものとする。
  (イ) 国等は、契約担当官等を置いている部局毎に官公需相談担当者を明確にし、「官公需相談窓口」を常設するとともに、当該窓口の所在情報を中小企業庁が取りまとめ、公表するものとする。
     
(4) 官公需情報ポータルサイトによる情報の一括提供
 
(ア)
中小企業者が発注に関連する情報を入手しやすくするため、全国中小企業団体中央会の協力を得て、中小企業庁がインターネット上に「官公需情報ポータルサイト」を運営し、国等及び地方公共団体がホームページで提供している発注情報を中小企業者が一括して入手できるようにする。
 
(イ)
また、中小企業者の自主的努力を助長するため、当該サイトにおいて、国等が公表する競争契約参加資格申請に関する情報を始めとした官公需に関する情報を一元的に集約し、中小企業者に提供するものとする。
  (ウ) さらに、中小企業者を支援する機関においては、その支援ツールとして当該サイトの活用を促進するものとする。
     
(5) 「官公需総合相談センター(仮称)」の設置
 
中小企業庁は、全国の中小企業団体中央会が、官公需に関する中小企業者からの相談に応じ適切な支援及び情報の提供等を行う窓口を設置する事業を支援する。
 
2.中小企業者が受注し易い発注とする工夫
(1) 分離・分割発注の推進
 
(ア)
国等は、物件等の発注に当たっては、価格面、数量面、工程面等からみて分離・分割して発注することが経済合理性・公正性等に反しないかどうかを十分検討したうえで、可能な限り分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。
 
(イ)
国等は、分離・分割発注に際し、中小企業庁が取りまとめる効率的な分離・分割発注に係る事例を参考として活用するとともに、分野に応じて、部内の人材育成又は外部人材の活用等により、発注能力の向上等体制整備に努めるものとする。
 
(ウ)
公共工事においては、公共事業の効率的執行を通じたコスト縮減を図る観点から適切な発注ロットの設定が要請されているところであり、国等は、かかる要請を前提として分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。
     
(2) 適正な納期・工期の設定
 
国等は、物件等の発注に当たっては、中小企業者が十分対応できるよう適正な納期・工期の設定に配慮するものとする。
     
(3) 銘柄指定の廃止
  国等は、物件等の発注に当たっては、真にやむを得ないと認められる場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないものとする。
 なお、参考銘柄として固有の商品を例示する場合においては複数の商品を例示する等、実質的な銘柄指定とならないよう配慮するものとする。
     
(4) 中小企業官公需特定品目等に係る受注機会の増大
 
(ア)
国等は、中小企業官公需特定品目(織物、外衣・下着類、その他の繊維製品、家具、機械すき和紙、印刷、潤滑油、事務用品、台所・食卓用品及び再生プラスチック製製品)の発注を行うに際し、中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。
 
(イ)
国等は、中小企業官公需特定品目及び中小工事等に係る発注に当たって指名競争制度を利用する場合並びに少額の契約案件にあっては、官公需適格組合を含む中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。
     
(5) 官公需適格組合等の活用
 
(ア)
国等は、中小企業庁が証明した官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする。
 
(イ)
国等は、官公需適格組合の競争契約参加資格審査に当たっては、総合点数の算定方法に関する特例の一層の活用に努めるものとする。
 
(ウ)
国等は、官公需適格組合制度について、官公需適格組合の受注機関別受注実績を公表するほか、各府省等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関に対し、当該制度の一層の周知徹底に努めるものとする。また、国は、地方公共団体に対する当該制度の一層の周知に努めるものとする。
     
(6) 同一資格等級区分内の者による競争の確保
 
(ア)
国等は、一般競争及び指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保すること等により、官公需適格組合を含む中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。
 
(イ)
国等は、一括調達による発注を行う場合には、競争参加者の資格の設定に際し、中小企業者の受注機会の確保に配慮するため、予定価格に対応する等級の者に加え、下位等級者の参加が可能となるよう弾力的な運用を図るものとする。
 
(ウ)
国等は、資格等級に対応する契約の予定金額については、価格水準の変動等をも勘案しつつ、適時見直しを行う等一層の適正化を図るとともにこれを公表するものとする。
     
(7) 調達手続の簡素・合理化
 
(ア)
国等は、競争契約参加資格者の審査について、申請書類の統一化及び申請手続の簡素化等を一層推進するものとする。
 
(イ)
国等は、国における競争契約参加資格審査申請手続の電子化の実施状況及び入札・開札手続の電子化の導入状況等を踏まえ、中小企業者の円滑な対応に留意しつつ、電子的手段の導入に努めるものとする。
 
3.中小企業者の特性を踏まえた配慮
(1) 技術力のある中小企業者に対する受注機会の増大
 
国等は、技術力のある中小企業者の受注機会の増大を図るため、政府調達(公共事業を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定「技術力ある中小企業者等の入札参加機械の拡大について」に基づく入札参加機会の拡大措置の一層の活用に努めるとともに、技術力の正当な評価を踏まえ、技術力のある中小企業者に関する入札参加資格の弾力化を一層進めるものとする。
     
(2) 地域の中小企業者等の積極活用
 
国等は、地方支分部局等において消費される物件等については、極力地方支分部局等における調達を促進することにより、地域の中小企業者等の受注機会の増大を図るものとする。
     
(3) 中小企業者の適切な評価
  (ア) 国等は、工事等の発注に当たっては、適切な評価手法による総合評価方式の導入・拡充に努めるものとする。
  (イ) 国等は、地域の建設業者を活用することにより円滑かつ効率的な施工が期待できる工事等の発注に当たっては、適切な地域要件の設定や、地域への精通度等地域企業の適切な評価等に努めるものとし、さらに、地方公共団体におけるこれらの取組を促進するものとする。
     
  (ウ) 国等は、工事等以外の役務の発注に当たっても、地域への精通度等が事業の円滑かつ効率的な実施の重要な要素となる契約について、一般競争契約においては適切な地域要件の設定や総合評価落札方式における地域精通度等地域の中小企業者の適切な評価等と積極的な活用に努めるものとする。
     
(4) 中小建設業者に対する配慮
 
(ア)
国等は、中小建設業者を取り巻く現下の諸情勢にかんがみ、中小工事の早期発注等により中小建設業者に対し特段の配慮を払い、その受注機会の増大に努めるものとする。
 
(イ)
国等は、一般競争や指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保することとするが、優良な工事成績を上げた中小建設業者に対しては、施工能力等を勘案し、上位の等級に属する工事にかかる競争に参加できるようにする等積極的に受注機会の確保に努めるものとする。
  (ウ) 国等は、特に、公共工事に関する発注に当たっては、共同による請負の適切な活用の一層の推進等により、中小建設業者に対する受注機会の増大に努めるものとする。
  (エ) 国等は、地域の建設業者、専門工事業者等の中小建設業者を活用することにより円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、極力分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。
     
(5) 新規開業中小企業者の参入への配慮
 
(ア)
国等は、新市場、新産業の創出・育成による雇用創出の重要性にかんがみ、新規開業中小企業者の受注機会(公共事業を除く。)の増大を図るよう特段の配慮に努めるものとする。
 
(イ)
国等は、新規事業者の入札機会を拡大するために、物品の製造・販売等に係る競争契約の参加資格のあり方につき、引き続き検討を行う。
 
4.ダンピング防止対策等の推進
 官公需契約の一部に過度な低価格競争が生じていること等を踏まえ、ダンピング対策の充実等、適正価格での契約や価格と品質が総合的に優れた調達の推進を図るため、適切な対策を講じる。
(1) 適切な予定価格の作成
  (ア) 国等は、物件等の発注に当たっては、受給の状況、原材料及び労務費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、消費税及び地方消費税の負担等を勘案し、適切に予定価格を作成するものとする。
  (イ) 国等は、公庫等及び地方公共団体における工事等の発注に際し、いわゆる歩切りや予定価格等の事前公表の取りやめ等が促進されるよう努めるものとする。
     
(2) 低入札価格調査制度の適切な活用等
 
(ア)
国等は、役務及び工事等の発注に当たっては、ダンピング受注の排除等適正価格による契約の推進のため、低入札価格調査制度を適切に活用するものとする。
 
(イ)
国等は、特に人件費比率の高い役務契約については、適正な履行確保の観点から、低入札価格調査基準価格を下回る価格により落札した者と契約する場合における措置として、入札価格内訳書の徴収の徹底とともに、落札の決定があった旨の公表の徹底を行うものとする。
 また、下請代金支払遅延等防止法、独占禁止法及び労働関連法等の所管行政庁は、その執行を図る上で、必要に応じ低入札価格調査制度に基づく調査情報も活用する。
  (ウ) 国等は、地方公共団体における工事等の発注に際し、低入札価格調査制度、最低制限価格制度及び入札ボンド制度等の適切な活用が促進されるよう努めるものとする。